機能性成分
これまでの食品は栄養特性や嗜好特性を中心に考えられてきました。しかし1980年半ばに当時の文部省によって「食品の役割には身体に対する機能がある」として考える「機能性食品」という新たな概念が提唱されました。
そして、食品の栄養面での働き(栄養機能・一次機能)、嗜好や感覚器官に対する働き(感覚機能・二次機能)生理面での働き(生体調整機能・三次機能)の三つの機能が研究されるようになりました。この三つの機能の中で最も注目される機能が三次機能の生体調節機能です。
私たちは生命活動に異常が起きることで病気になります。研究の結果、食物の多様な成分の中には免疫系や神経系、内分泌系などの生体活動調整に関わって、人体の恒常性(自律神経である交感神経と副交感神経の働きかけによって人体のあらゆる機能や活動を一定の状況に安定させる脳の働きのこと)を維持し、自然治癒力を高める機能があることが分かりました。
これが食品の三次機能である生体調整機能です。近年、機能性食品は研究が進み、食品中の機能性成分に関する報告が数多く集められました。その結果、日本だけではなく海外でも機能性食品に対する関心が大きくなってきました。
アメリカではビタミン、ミネラルなどの摂取を目的とした錠剤やカプセルなどの栄養補助食品が数多く市場に現れ、ヨーロッパ諸国では、乳酸菌飲料の摂取に関する研究開発が活発になるなど、機能性食品は世界的にも注目を集めている新しい食品と言えます。